お店を始める以前のお話しになりますが、鍋で50gほどの生豆を一心不乱に焼いていた頃がありました。コーヒーって何だろう?と、迷宮入をしたのかも知れません。美味しいコーヒーを作りたい一心で毎日暇さえあればガスコンロの前でひたすら鍋を振り続けていました。このおかげでフライ返しが上手になりました。しかし、美味しいコーヒーとはどんなものかを比べるものはコーヒー屋さんで買ってくる豆でしかなく、『良い悪い』は『美味しいか不味いか』の影で見えていなかったのでしょう。
今ではより良い豆を入手できることができるので、買い付けに飛び回っている方に感謝です。おかげで良質な豆を焙煎することが出来ます。そして、本当に美味しいコーヒーを提供できるように心がけています。なぜこんなことを突然書いたかというと、先程少々時間があったので手網に生豆を一つまみ入れて焙煎してみたんです。おもむろにとった行動は生豆が発する香ばしい香りで一気に記憶を遡ってしまいました。私自身がそれにビックリしてしまいました。懐かしさもありました。それよりもその頃疑問に感じていたことや出来なかったこと、コーヒーのことを何も知らないで焙煎していた自分が蘇ってきました。その自分がそれでも続けてきたことで今が在るものだとしみじみに感じました。そしたら少々の自信が持てました。何でも続けることは困難が伴います。どんなに挫けていてもたまに雲間から見える陽射しのように気を良くして回復し、また壁に突き当たるまで体力を付ける。満足など仕事においては考えない方が良いのでしょうね。続けなくなるでしょうね。『継続は力なり』よく言ったものです。今日はコーヒーの香りで救われた自分がいました。
話しはかわって…
宮城県からお越し頂いたお客様。コーヒーを飲みながら写真について、カメラについての話しに花が咲きました。このブログを楽しく拝見してくださっているようでありがたいことです。写真も褒めて頂いてデレデレの私は上手く話せたか分かりませんが、これから写真をもっと楽しみたいとのことです。美術の先生をされている方で絵を描かれています。きっと写真だって面白いものを撮るのでしょうね。お客様と話していて気付いたことがあります。それは、技術を磨くよりも楽しい撮影をすること。それが技術を磨くことに深く結び付いているからと思いました。写真だけじゃありません。コーヒーの仕事もそうでなければ、と強く思いました。
しかし、こんな先生に教わる生徒さんはうらやましいな。

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